価格帯は近いのに全くキャラクターの異なる2つのカメラ。
α7IIとα7Sを交互になんども借りて試してわかった、気になる比較ポイントを紹介します。
(レンズはすべてSEL2470Zを使った感想です。掲載している写真はすべて撮って出しのJPEGです。)
デザイン
α7Sは小型を優先したデザイン。
シャッターボタンを押す指とストラップが干渉しがち、グリップが小柄で大きなレンズをつけると不安定、再生時の拡大ボタンが押しにくいなど、操作性の面で少し難あり。
ただしその分軽く446g。
α7IIはα7(無印)で指摘されたデザイン上の難点をほとんど解消してよりカメラらしくなったデザイン。
シャッターボタンはグリップ上に斜めに配置され自然に押しやすく、大きくなったグリップのおかげでホールディングも安定、拡大ボタンなど細かい点も修正されて、カスタムキーも増えています。
その代わり一回り大きくなり重さも増えて556g。
比べると確かにα7IIの方が重たいですが、改善されたグリップのおかげでそれほど重さを感じません。
高感度画質
α7Sといえば高感度での低ノイズ!特に室内では絶大な効力を発揮します。ISO6400は完全に常用で、等倍で見なければISO12800も問題なし。
α7S: F5.6, 1/50, ISO12800
α7IIはα7Sと比較するとどうしても見劣りしますが、それでもフルサイズ。ISO3200までは常用、等倍で見なければISO6400以上も積極的に使っていけます。2400万画素と解像度が高いため、縮小してディスプレイでの鑑賞やそれほど大きくないサイズに印刷するのであれば結果的にノイズが目立たなくなる効果があるため、高感度でも実用性は高いです。
α7II: 1/60, F5.6, ISO5000
ともかく、α7Sの性能が凄すぎるだけで、どちらもフルサイズらしく高感度は強いと言えそうです。
低感度画質
α7Sは低感度でもリッチな色合い。ダイナミックレンジが広く、適当に撮影してもハッとさせられる写真がたくさん撮れます。
α7S: F8, 1/60, ISO125
α7IIは明るい屋外で撮ると高解像度なのも相まってキレキレの写真が撮れます。一方で低感度だと少し暗い室内ではピントがシビアになり、ピンボケ写真が増える印象でした。
α7II: F5, 1/400, ISO100
画素数
α7Sは1200万画素。日常的な写真で足りないと感じることはあまりないですが、時々もう少し高解像度だったらと感じることも。せめて1600万〜1800万画素あればあらゆるシーンで不満を感じることはなくなりそうです。画像ファイルのサイズが小さいので取り回しが楽なのもポイント。
α7IIは2400万画素。本気で風景を撮ったりしない限りはまず不満を感じない十分な高解像度です。ファイルサイズも大きすぎず小さすぎず。
α7Sに限って言えば高感度性能が唯一無二のため画素数は十分妥協できるポイントです。
AF速度
α7SはコントラストAFのみ。レンズを前後させながらピントが合う位置を探すという仕組みなので遅いかなと思っていましたが、日常使う上では全く問題にならないほどの速さで動作します。さらに暗所に強いセンサーを搭載しているおかげで夜の室内でもAFが速い!逆に明るくてもピント合わせに迷ってしまうことも稀にあり、これはコントラストAFなので仕方ないところでしょうか。
α7IIは像面位相差AFとコントラストAFのハイブリッド方式。明るい場所でのAF性能には不満がなく一発でピントが合います。なによりコンティニュアスAFモードでのAF追従は痛快!一方で暗い室内などではAFが遅くなりコントラストAF特有の迷うような挙動も見られます。
動き回る子供を撮りたいというのがあったので、やはり像面位相差AFを搭載しているα7IIに惹かれますが、α7Sの暗所でのAF性能も捨てがたいところ。
Aマウントレンズ対応
元々ソニーのα55を使っていたため何本かAマウントレンズを所有しています。
また、高性能なレンズはまだまだAマウントに多いため、レンズの選択肢としても重要です。
マウントアダプタとして素通しアダプタのLA-EA3と、ハーフミラーの入った位相差AFが利用できるLA-EA4の二種類があり、どちらの機種でも使用することは可能。
ただし、AF方式に差があります。
- α7S + LA-EA3 + SAM or SSMレンズではコントラストAFのみ可能。ただし速度は期待できません。
- α7S + LA-EA4では位相差AFが可能。逆にコントラストAFは使えません。
- α7II + LA-EA3 + SAM or SSMレンズでは像面位相差AF+コントラストAFが可能。他社製レンズでも実用的な速度で像面位相差AFが効くと話題になった機能です。
- α7II + LA-EA4では位相差AFが可能。逆に像面位相差AFは使えません。
将来的にAマウントレンズの購入も視野に入れるとα7II + LA-EA3で利用できる像面位相差AFは魅力的です。
APS-Cクロップ
Eマウントレンズ、Aマウントレンズ共にAPS-C専用のものが存在しますが、フルサイズのα7シリーズでも使用することが可能です。
ただし、APS-Cクロップモードで使うことになるので、焦点距離は1.5倍、画素数も落ちてしまいます。
α7SのAPS-Cクロップモードでは510万画素に低下。ちょっと心もとないですね。
α7IIのAPS-Cクロップモードでは1000万画素に低下。これだけあれば十分実用できそうです。
安くて良いAPS-C専用のレンズも多いので、α7IIのAPS-Cモードは気になる存在です。
ボディ内手ぶれ補正
α7Sは非対応。ただし、高感度が強いためSSが上げやすく画素数も少ないので結果的にブレにくく、手ぶれ補正は必須ではないかもしれません。
α7II最大の特徴とも言えるのがボディ内5軸手ぶれ補正。Eマウントレンズだけでなく、マウントアダプタ使用時も手ぶれ補正してくれます。光学手ぶれ補正対応レンズの場合はボディ内と組み合わせることで強力な効果を発揮し、さらにファインダ像まで止まるため、非常に撮影がしやすくなります。
暗所画質を補完する意味でもα7IIの手ぶれ補正はぜひ欲しい機能の一つです。
サイレントシャッター
α7Sの大きな特徴の一つ。シャッター音が全くしなくなるため、舞台撮影やカンファレンスなど様々な場面で活用できます。
α7IIはサイレントシャッター非対応。メカシャッターもそれほどうるさくないですが、無音にはならないため撮影可能シーンを広げるという意味でもぜひ対応してもらいたい機能の一つです。
α7Sのサイレントシャッターは一度体験してみると絶対に欲しくなります。
非圧縮RAW
一時期海外の掲示板を中心に盛り上がっていた圧縮されたRAWファイル。現像すると撮影シーンによっては圧縮RAWではわずかに画質が劣化することがあるようです。
α7Sは圧縮RAWのみ対応。高感度を活かした星空撮影などでは影響が出たりするんだとか。
α7IIは圧縮RAWと非圧縮RAWに対応。使う使わないによらず、対応しているということは安心感につながります。非圧縮RAWだとファイルサイズが倍になってしまうのは気になるところ。
結論
α7Sは高感度画質とサイレントシャッターに大きな強みがあり、AFも早く普段使い用としても非常に扱いやすそうなカメラ。
ただし、やや操作面に難のあるデザイン、 1200万画素と控えめな解像度、像面位相差AF非対応、ボディ内手ぶれ補正非対応などカメラシステムとしてメインに据えるにはやや心もとない点が否めません。
|
α7Sと比較すると高感度画質やサイレントシャッター非対応という点に少し引け目を感じますが、少なくとも画質に関してはフルサイズとして十分良いことに間違いありません。
|
でも、α7IIで撮れないシーンのためにα7Sも追加で欲しいです。
0 件のコメント:
コメントを投稿